日時/平成23年4月24日(日)9:30〜12:00
場所/県立秦野戸川公園の周辺の里山
講師/県立秦野ビジターセンター自然解説専門員 柳川美保子・村上美奈子(2人)
参加者/23名(申込時点) |
丹沢フォーラムというと、丹沢の自然環境の現状や問題点を把握するというテーマが主体ですが、今回は少し趣向が異なりました。春を迎えた丹沢山麓をのんびり散策しながら、自然観察を楽しむという、丹沢初心者の方でも参加しやすい企画でした。
当日は、雨上りの暖かな日和とあって、ヤマビル出現が予想されました。出発前にズボンの裾を靴下に入れ、塩を用意して頂き、ヤマビル防除スプレーを靴にかけてもらうなどして、ヤマビル出現に備えました。 |
立体地図を見ながら表尾根の山並みついて解説を受ける |
コースは、秦野戸川公園パークセンター前→大倉尾根登山口付近→2010年植樹祭の植樹会場→休耕農地→西山林道東側→秦野戸川公園で、柳川班、村上班の2班に分かれて、それぞれ逆コースから巡りました。
班によって、見られたものや内容が多少異なるかもしれませんが、少しご紹介します。 |
本物のスミレとスミレ色を比較する |
路傍にはタチツボスミレやクサイチゴ、ヒメウズなどの花が咲き誇り、山並みを眺めると様々な色合いの新緑が目を楽しませてくれました。新緑を前にして、講師の方が色見本を取り出し「萌黄色」はどの色かを質問、みんなで考えてみたり、新緑は何色あるか数えてみたり、本物のスミレが咲いていたので色見本の「スミレ色」と比較してみたり……春を堪能し、改めて丹沢山麓の自然の豊かさを発見出来た内容でした。 |
休耕農地には、シカやイノシシの糞や足跡などの痕跡が数多くあり、野生動物の生息場所になっていることを実感しました。そこには、ビッグサイズのヤマビルもたくさん出現。あらかじめ防除はしたものの、足元を這い上がろうとするヤマビルが何匹もいました。列の後ろの人が前の人につくヤマビルを取るなどして、なんとか吸血はまぬがれました。ヤマビルを目にしたことのない人はかなり驚いたようでしたが、ベテランの方々が、アスファルトの上では生き延びられないことやヤマビルを指でこねて体の水分を奪えば弱ってしまうことなど、ヤマビルの生態について詳しく教えてくださり、ヤマビルへの恐怖感を和らげてくれました。 |
休耕農地を歩く。野生動物の痕跡多数 |
2班がすれ違い、少し情報共有 |
植樹会場は、植生保護柵で囲われており、シカなどの採食を防いでいましたが、柵内にシカの糞が落ちており、管理の大変さも感じられました。一方で、植樹前に間伐を行ったことで適度に日光があたり、植樹された木々の多くは死滅することなく、良好な環境で生育しているようでした。一部にはスズタケも残っており、シカの影響を受けながらも昔ながらの里山の環境を留めていることも観察できました。
丹沢は、野生動物の影響やヤマビルなどの問題を抱えつつも、誇るべき自然がたくさん残っている事を感じさせてくれました。参加者の口からは「本当に良い所ねえ」「すごくきれい」「また違う季節に歩いてみたい」などの言葉がもれ、春の里山の素晴らしさを味わっていました。
今回は、丹沢歴の長いかたから初めての方まで幅広い層の方々が参加していましたが、講師の方による自然体験プログラムや自然解説だけでなく、ベテランの方が時には講師役になったりと、すべての方が和気あいあい楽しめる、のんびりゆったりの春の丹沢フォーラムでした。 |
植樹会場を観察する |
スズタケが一部に残る雑木林 |
【情報提供】丹沢自然保護協会 長澤様 |